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AI Overview(AIO)対策とSEO対策との違い
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2025年3月から日本でもGoogleにログインなしでAI Overviews(AIO/AIによる概要)が多く表示されるようになり、それを認識するユーザーも多くなりました。
AI Overviewsによって端的に知りたいことが分かるため、従来の青いリンクのクリック率は減っています。その具体的状況や、AI Overviews引用元に選ばれるためのポイントなどをご紹介します。
AI Overviews(AIによる概要)とは
AI Overviews(以下、一部AIOと略す)は、Google検索結果画面に表示されるAIによる回答の部分を指します。当初SGE(Search Generative Experience)として2023年5月11日にGoogleから初めて発表され、その後AI Overviewsに名称が変更になりました。

SGEとして発表されてからしばらくの経緯などは次の記事に詳しくまとめています。
AI OverviewsによるCTR(クリック率)の低下
AI Overviewsが表示されると、そこだけを見て検索行動を終えるパターンが想定されます。
実際に、AI Overviewsによる従来の青いリンクのクリック率の減少を示す報告は多くあります。
引用元 | 対象キーワード数・期間 | CTR減少幅 | 備考 |
---|---|---|---|
Ahrefs(2025年 4 月) | 30 万語 比較:2024 年 3 月 → 2025 年 3 月 | 34.5%減少 | 調査方法を詳述した大規模分析 |
Amsive(2025年4月) | 70 万語・5 業界 | 15.49%減少 | 強調スニペットと重複するとさらに大きく37.04%減少 |
Seer Interactive(2025年2月) | 約 1 万語(Knowクエリ) 比較:2024 年 1 月 → 2025 年 1 月 | 55%減少 | AIOが出ないクエリは逆にCTR が上がっている点を指摘 |
Similarweb(DIGIDAY経由)(2025 年 7 月) | 米国ニュース検索(語数不明) | 13%減少 | 検索参照トラフィックは6.7%減少 |
AI OverviewsによるGoogle利用者数の増加
Googleは、AI Overviewsが表示されるタイプの検索キーワードにおいて、Googleの利用が10%以上増加したと報告しています。
次のグラフは日本国内のウェブブラウザシェアの推移です。BingがOpenAI社との提携でAIを強化しシェアを一時的に高めた後、AI Overviewsの影響もあってか、Googleのシェアは高まっています。
AI Overviewsからの流入数
GoogleのCEOであるSundar Pichai氏は、インタビューへの回答で「AI Overviewsはより多くの流入を多くのサイトに送っている」と主張しています。
従来の青いリンクからの流入が減っても、AI Overviewsからの流入で補えればよいのですが、AI Overviewsの引用元をクリックする確率はどの程度なのでしょうか。
多くのSEO専門家がSundar Pichai氏の発言に対して疑問を呈しています。
キーワードごとのサイトへの流入数はGoogleサーチコンソールで分かるようになっていますが、Googleは従来の青いリンクからの流入とAI Overviewsを分別できるようにしていないため、真偽は分からない状態です。
Googleは、AI Overviewの参照元をたどってサイトに訪れたケースは、滞在時間が伸びるとも主張しています。
参考:
New ways to connect to the web with AI Overviews(Google)
Google AI Overviews gains new citations and links, plus more(Search Engine Land)
AI Overviewsの表示率

AI Overviewsの表示率は当社が検索意図タイプ別に計測を行っており、次のページで公開しています。検索意図はAIによる判別です。
AI Overviews表示率はKnowクエリ(~を知りたい)とDoクエリ(~をしたい)で高まり続けており、2025年7月17日時点で全体平均が39.2%、計測を始めてから約3か月で2.6倍になっています。つまりこれらの検索クエリでは、AI Overviewsを表示した方がユーザーにとって望ましいとGoogleが判断している結果と思われ、今後も更にAI Overviewsの表示率は高まる可能性があると言えます。
Goクエリ(指名検索)とBuyクエリ(~が欲しい、買いたい)では表示率は低くなっています。
自社が狙うキーワードでどうかなどはリテラ(BringRitera)で計測が可能なので、良かったらお試しください。
AI Overviewsの検索順位別に見た引用率

AI Overviewsがスタートした当初に私が調査した際は、AI Overviewsの参照元と通常の検索結果の上位は異なる傾向が示されました。通常の検索結果の上位よりも、AI Overviewの参照元にはドメインパワーが求められるというものです。より信頼性が確かな先をGoogleが選ぼうとしているのではないか、という風に思っていました。
現在は、検索上位が選ばれやすい傾向になっています。AI Overviewの検索順位別に見た引用率についても、当社が計測を行っており、先ほどのページの下部にグラフがあります。
日本でログインしていない状態で表示されるようになった当初は変動が大きかったですが、その後落ち着いていて、2025年7月18日時点では3位以内で55.6%、5位以内で58.8%、10位以内で77.1%、20位以内で88.9%です。
こちらもリテラ(BringRitera)で計測し分析が可能なので、良かったらお試しください。
知っておくべきAI Overviewsの仕組み
AI Overviews対策を行う上で知っておくと良い仕組みがあります。
Googleはこれらの仕組みをAI OverviewsとAIモードの両方で用いています。
クエリファンアウト(Query Fan-out)
Googleはクエリファンアウト(Query Fan-out)と呼んでいる手法を用いてAI OverviewsとAIモードの回答結果を生成しています。
例えば「英語 勉強法」とユーザーが検索した時に、従来の検索結果はそのクエリ(キーワード)をもとにした検索のみを行ってますが、クエリファンアウトは、元のクエリをもとに複数のクエリを作成し、それぞれに検索を行い、それぞれの検索結果を踏まえて回答結果を導き出しています。

ページ単位ではなくパッセージ(文節)単位を見ている
従来のGoogle検索エンジンは、2021年6月からはpassage rankingというパッセージ(文節)単位でも評価を行えるようになりましたが、それまではページ単位でのみ評価し、ランキングをしていましたし、現在も主にはページ単位での評価となっています。
一方でAI Overviewsに限らず生成AI全般は、パッセージ(文節)単位でユーザーの質問に対する回答を探しています。
AI Overviewsに選ばれるためのポイントとして明らかなもの
AI Overviewsの表示率は高まっており、AI Overviewsが表示されると従来の青いリンクのクリック率は減るため、AI Overviewsの引用されることが重要となります。
それでは、AI Overviewsに選ばれるにはどうすればよいのでしょうか。明らかに関係性があるものと、そうではないものに分けてご紹介します。
まずは、明らかに関係性があるものについて。
まずは検索結果の上位を目指す
先に示したデータを見れば分かる通り、AI Overviewsは従来検索結果の青いリンクのうち上位が選ばれやすい傾向があります。
AIはウェブ検索を行って得られた情報をまとめており、検索上位ほど情報が引用されやすい仕組みだと考えられます。20位以内が約90%ですので、少なくとも20位以内には入っていないと選ばれづらいと言えますし、3位以内で約56%ですので、結局のところ、できるだけ検索上位を目指すという部分で従来のSEO対策と主なKPIは変わらないのです。
例えば以下のようなことは従来のSEOとしてやるべきことです。
- 1次情報などの独自性を入れる
- 検索エンジンやAIに伝わりやすいHTML構造
- 外部対策
検索意図に対して網羅的な内容とする
検索意図に対して網羅的な内容とするというのも、従来のコンテンツSEOと同じではあります。ただ従来のSEOでは、サイトのトップページや、カテゴリーページ、一覧ページで上位を目指すことがあります。一方でAI Overviewsに選ばれるページのほとんどは記事型ページです。
例えば「レンタルサーバー」と検索したときに表示されるAI Overviewの引用元のほとんどは記事型ページですが、従来の検索上位にはレンタルサーバーのトップページと、レンタルサーバーを比較した記事の両方が含まるといった具合です。
検索意図に対して簡潔に回答する部分を作る
例えば「レンタルサーバー」と検索して出てくるAI Overviewの先頭には、「レンタルサーバーとは?」という検索意図に対する簡潔な回答分が示されます。
先にご説明した通り、AIはパッセージ(文節)単位で評価しているため、AIが引用しやすいように、検索意図に対して簡潔に回答する部分を記事内に設けます。
その際、その部分だけで意味が完結しているかを確認するようにします。
長文の場合、前後の文脈から読み取れるために主語を省略する場合もありますが、そうならないようにします。

比較記事を作成/自サイトだけでなく他社サイトへの掲載
「〇〇 おすすめ」などのクエリでAI Overviewが表示される場合、その引用元は比較記事が多くなるため、比較記事への自社サービスの掲載が重要となります。
自社による比較記事を作成の他、他社サイトにもできるだけ掲載してもらえるように働きかけるなどする活動が効いてきます。
無料で掲載できるサイト、掲載料を支払うと掲載できるサイトや、相互リンクの打診によって応じてくれるサイトなどあります。
結局、このように引用先は作られていくので、不毛だとは思うのですが・・。

権威性・認知度を高めるブランディング
ブランディングも従来のSEOにおいても重要な要素ですが、AI Overviewsに選ばれる上ではより重要だと考えられます。従来のSEOではサイトとしての評価を高めるためにブランディングが重要ですが、サービスや製品がAI Overviewsに選ばれるうえでは、そのサービスや製品がAIに認識されている必要があります。このことをエンティティという風にも呼びます。
YouTube、SNS、プレスリリース、書籍執筆、会社の顔を創る、プロダクトを持つなどの手段を通してブランディングを行っていくことができます。
AI Overviewsに選ばれるためのポイントになり得るもの
現時点ではそれほど大きな効果が期待できるわけではないですが、余力があれば対応すべきこと、注視しておくべきことを挙げます。
構造化マークアップ
構造化マークアップは画面上には表示されないのですが、検索エンジンがより詳しくページに関する情報を伝えるための手段として用意されているもので、Googleの検索結果画面に表示されるものがあります。
AIも構造化マークアップは参照しているという話を次の動画の中でGoogleのマーティン・スプリット氏が述べています。※この動画はFaber Company社によるものです。
構造化マークアップは検索順位を直接的に上げる効果はありません。そのこともこの動画の中で断言されています。従来の検索結果画面においては、例えば口コミ情報などが表示されることがあり、それによってクリック率が高まるということは期待できます。一方でAIが構造化マークアップも参照するということであれば、より意味を理解しやすくなりますので、参照されやすくなる効果が期待できると推測されます。
特にFAQの構造化マークアップは効果が期待できます。
LLMs.txt
LLMs.txtは、サイトのルートディレクトリに「llms.txt」のファイル名で配置するものです。
「robots.txt」は検索エンジンや生成AIによるクロールを制御することができるものとしてですが、「llms.txt」は生成AIに積極的に内容を把握してもらうためにサイトの構造を伝えるためのものです。
ただし、llms.txtは現時点普及していません。Googleは見ていないと断言しています。
robots.txtは事実上の標準として普及し、Googleが2019年にIETF(Internet Engineering Task Force)での標準化を進めることを発表し、現在では正式な標準化の手続きが進められています。
llms.txtは2024年9月に、AI教育プラットフォーム「fast.ai」の共同創設者であり、AI分野で影響力のあるJeremy Howard(ジェレミー・ハワード)氏が提案したとされています。今後普及する可能性はありますが、robotx.txtとは違い、現時点では普及していません。
ただし、llms.txtを配置して悪いことはありませんので、余力があれば配置しておくとよいでしょう。WordPressには自動的にllms.txtを配置してくれる「Website LLMs.txt」というプラグインがあります。
AI Overviewsの計測
先に述べた通り、GoogleサーチコンソールではAI Overviewsからの流入を知ることができません。
特定のキーワードでAI Overviewが表示されたかどうかと、表示された場合に自サイトがそこに引用されているかどうかを知ることができるツールはいくつか登場しています。
リテラ(BringRitera)は国内で初めてAI Overviewsの計測機能をリリースし、国内最安値でもあります。
まとめ
AI Overviewsと従来SEOの主な違いと共通点についてご紹介しました。
まずは従来のSEOが重要となり、それに加えてAIに引用されやすい文節を設け、他サイトへの掲載、ブランディングの強化を行っていくことが重要になっていくでしょう。