SEO

SEOは終わるのか?Googleが発表した「SGE」と今後の「SEO」について

最初に申し上げますと、SEOは少なくとも当面は終わらないと思います。激しく変化を続けるだけです。SEOという呼び方は変わるかもしれません。

2023年5月10日、Googleが公式ブログで「Supercharging Search with generative AI」というタイトルで検索結果画面の表示の試験内容について発表をしましたので、それについてご紹介し、私の見解を述べさせていただきます。

SGEとは?

Googleが公式ブログの中で「Supercharging Search with generative AI」というタイトルの記事を公表しました。

Keynoteでも発表されています。

何かと言うと、Googleの検索結果画面の上部に、AIによる回答結果を表示するという内容です。表示部分には、AIによる回答テキストと共に、関連サイトへの画像付きリンクが表示されています。

この試験を「Search Generative Experience(SGE)」とGoogleは呼ぶそうです。

Googleの試行錯誤

Googleが検索結果画面上部に表示する内容はこれまでも試行錯誤が繰り返され、試されたものの姿を消してきたものも多くあります。直近では、Twitterのつぶやきを3つ表示しているときもありました。Twitterをあまり見ない私個人的には、逆に見ようと思うきっかけになるのであれ欲しいんですけどね。

ただTwitterのそれが特にGoogleからの公式アナウンスがないのと同様、通常は公式ブログでアナウンスはされないので、今回の発表内容は、かなりの確度で将来的に継続的に反映されるでしょう。

近いうちに、まずは英語圏で公開されるようです。

個人的にもChatGPTは現在たまに利用しますが、やはり普段はGoogleを使う中で、切り替えが面倒であるため、「ユーザーに焦点を当てる」Googleだからこそ、利便性を考えて検索とAIチャットは融合させる形とするだろうというのは思います。

Bardとの関係

用いられる技術はChatGPTの対抗馬と目されているGoogleのAIチャット「Bard」なのかと思いきや、それとは違うようです。別系統で開発しているようですね。ただし、GoogleはBardのために人事異動まで行っていて、Bardに力を注ごうとしているのは間違いないので、そのうちBardが用いられる可能性もあるかもしれません。

Bingとの違い

OpenAI社に多額の投資をしてきたMicrosoftのブラウザBingでは、すでにChatGPTをベースにしたチャットが使えますが、Googleの発表したUIと大きく異なるのは、通常の検索とChatが分かれていることです。

それに対してGoogleは、検索窓が共通化されていて、回答を分けるという風にしている点が大きく異なります。

ユーザーのことを考えれば後者が良いだろう、という風に私は思います。少なくとも私はそちらを使います。

もちろん今後これらは、変わるかもしれませんが。

SEOは終わるのか?

例えば「〇〇 電話番号」などと検索すれば電話番号が検索結果画面に出てくるように、ウェブサイトに訪れずにユーザーが検索を終えるパターンを「ゼロクリックリサーチ」という風に呼びます。すでにゼロクリックリサーチは増えてきていますが、今後そういう検索が増えることは予想されます。

検索クエリはGoogleの定義で、

  • Knowクエリ(~を知りたい)
  • Goクエリ(~に行きたい)
  • Doクエリ(~をしたい)
  • Buyクエリ(~を買いたい)

の4つに分けられていますが、このうちのKnowクエリに関しては、サイトへのトラフィックが減ることが想定されます。

ただし、「~を知りたい」に対しての回答が「一般化した内容」に限られるとも思います。

こういった検索クエリに対する対策は、関連コンテンツとして表示される部分にどうすれば表示されるか、ということを考えていくことになるでしょう。

ユーザーが検索を続けるような種類の検索クエリに対しては、今後はよりオリジナリティー(独自性)が上位表示の秘訣になると考えています。

【SEOにおける潮流】オリジナリティー(独自性)

SEOのさらなる未来予測

SEOはSearch Engine Optimizatonの略であるため、人が何かを調べるための道具、Google検索エンジンやMicrosoftのBingのことを検索エンジンと呼ばなくなれば、SEOという呼び方は変わるでしょう。

検索エンジン自体がなくなってしまうと、人々が作ったウェブサイトを見る手段が狭まります。指名検索ならばChatGPTでもできますが、ウェブページを検索する手段がなくなると、作り手側はウェブページを作るモチベーションが下がります。インスタやTwitterで情報を発信する人も多いですが、あれらは企業に依存しています。なくなることだってあり得ます。ウェブは、オープンな技術であり、企業に依存しません。

ウェブサイトをオープンにするという文化と、それを検索するための検索エンジンという物自体はまだ当分は残るように思えます。

一方で、ウェブ集客という文脈では、AIチャットに対する最適化を考える必要が出てくるというのはあるでしょう。

まとめ

ダーウィンの進化論を書き残してまとめにしたいと思います。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、生き残るのは変化できる者である。

私は飽きっぽい性格なので、好きなジャンルに関しては変化が楽しいです。
生き残るタイプです。
変化が激しい、いい時代に生まれたなぁ。

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BringFlower
稲田 高洋(Takahiro Inada)

2003年から大手総合電機メーカーでUXデザインプロセスの研究、実践。UXデザイン専門家の育成プログラム開発。SEOにおいても重要なW3Cが定めるWeb標準仕様策定にウェブアクセシビリティの専門家として関わる。2010~2018年に人間中心設計専門家を保有、数年間ウェブアクセシビリティ基盤委員も務める。その後、不動産会社向けにSaaSを提供する企業の事業開発部で複数サービスを企画、ローンチ。CMSを提供し1000以上のサイトを分析。顧客サポート、サイト運営にも関わる。
2022年3月にBringFlowerを開業し、SEOコンサル、デザイン、ウェブ制作を一手に受ける。グッドデザイン賞4件、ドイツユニバーサルデザイン賞2件、米国IDEA賞1件の受賞歴あり。