SEO

GoogleのSGEとは?SEOは終わるのか?今後のSEOとSGE対策について

最初に申し上げますと、SEOは少なくとも当面は終わらないと思います。激しく変化を続けるだけです。SEOという呼び方は変わるかもしれません。

SGEとは、Google検索結果画面の上部に生成AIによる回答結果が示されるというものです。先行して米国でのみ試験利用開始していましたが、2023年8月30日、日本でも試験利用が可能になりました。Googleによる最初の発表は2023年5月10日のGoogle I/Oで、公式ブログでも「Supercharging Search with generative AI」というタイトルで記事を残しています。

この記事では、SGEに関する概要と、それによる今後のSEOへの影響についての考察をご紹介します。

はじめに

今後のSEOにおいては、SGEの引用元リンク先となるという新たな目標が生まれそうです。引用元リンク先となるために、検索キーワードに対して網羅的に質の高いコンテンツを書くという意識をこれまで以上に高める必要が生じるかもしれません。

これまでの検索上位(青い10個のリンク)は、サイト全体の評価が高ければサイトのトップページが表示されるということがありましたが、引用元リンク先は記事型ページであり、コンテンツが充実している傾向です。網羅的な観点を洗い出して記述する作業は時間がかかるため、今後はBringRiteraのようなAIライティングツールを用いてその部分は効率化することになるかもしれません。

一方で、従来の青い10個のリンクに選ばれ、上位を獲得するには、網羅的であるだけではなく、かつオリジナリティのあるコンテンツが含まれることがより大切になってくると予想します。

以下で詳しく解説していきます。

SGEとは?

SGEは「Search Generative Experience」の略で、Googleによる呼称です。Googleの検索結果画面の上部に、生成AIによる回答を表示するというものです。表示部分には、AIによる回答テキストと共に、引用元サイトへの画像付きリンクが表示される内容で試験が進められています。また、関連する質問の候補が下部に表示され、生成AIとの対話を続けることができます。

これについてGoogleはKeynoteで発表しています。

ホワイトペーパーがこちらです。

A new way to search width generative AI (An overview of SGE)

ホワイトペーパーの中で次のように書かれています。

  • Ask entirely new types of questions that you never thought Search could answer
  • Quickly get the lay of the land on a topic, with links to relevant results to explore further
  • Ask follow-up questions naturally in a new conversational mode
  • And get more done easily, like generating creative ideas and drafts right in Search
What is SGE?

意訳すると、次のような意味となります。

  • これまで検索では分からないと思っていたようなことも聞いてみてください。概要が素早く示され、 さらに探求するための関連リンクも示されます。
  • 自然な会話形式で質問をしてみてください。クリエイティブなアイデアやドラフトも示されます。

また、Googleの公式ブログの中でも公表されています。

Supercharging Search with generative AI

こちらの動画は分かりやすいと思います。

SGEとSEOの関係性について

SGEとSEOの関係をご説明する前に、そもそもSEOって何?という方のためにご説明します。

SEOは「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジン最適化の意味です。SGEとは違い、Googleなどの検索エンジンベンダーが名付けた名称ではありません。検索エンジンに最適化しようとするウェブコンテンツ制作者側の考えです。

現時点でのSEOの基本的なところについては次の記事を参照ください。

SEOとは?3つの軸と3つの視点に基づいて解説

SEOのゴールは、ウェブサイトで集客するところにありますが、その手前に、ターゲットキーワードで検索結果画面の上位に表示させるというところがあります。その検索結果画面において、これまでの上位部分よりもさらに上位にSGEが表示されようとしているわけなので、SEOが大きく変わるかもしれません。

SGEは検索結果画面の一部であり、SEOはSGEによってやり方、考え方や、集客への結び付きやすさが大きく変わるかもしれないという、そういう関係にあります。

ただ、SGE試験終了後の本番は、今の上部に差し込まれる形ではなく、例えば右側に固定表示されて、クリックすると広がるとか、そういう変更もあり得るかもしれません。現時点でSGEは本番運用に向けて最適な形を模索するための試験段階です。

現在試験中のレイアウト
例えばこういう変更もあり得るかも?

SEOで集客に結び付きにくくなって困るのはSEO実施する側だけではありません。Googleも困るはずです。Googleの大きな収入源であるウェブ広告収入が減るので。なので、ユーザーにとっての価値の最大化とともに、Googleの収入を減らさないための表示方法なども模索しているはずです。

SGEの使い方(始め方)

SGEは先行して米国ユーザーだけが、waitlist(順番待ちリスト)登録後にようやく使える状態でしたが、2023年8月30日、順番待ちをする必要もなく、日本でも試験利用ができるようになりました
Google Japan 公式ブログ「生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介

Search Labsにアクセス

GoogleのSearch Labsにアクセスします。ログインしてない場合は「ログインして続行」を押してください。

次のような画面が表示されるので、「SGEを有効にすると、検索時に表示されることがあります」と書かれているところのスイッチをONにします。

GoogleのブラウザChromeを使ってGoogle検索エンジンで通常通りに検索する

あとは、GoogleのウェブブラウザChromeを用いて、通常のGoogleの検索エンジンで検索するだけです。
ただし、この後ご紹介する米国版に比べてSGEが表示されることが少ないと思われますので、誰でも知っていそうな内容でまずは試してみるのが良いかもしれません。
また、現時点ではChrome以外のウェブブラウザでは利用できません。

Google Workspaceの場合

ビジネス組織向けのGoogle WorkspaceのアカウントでSearch Labsにアクセスすると、「現在、お使いのアカウントではSearch Labsはご利用いただけません」と表示されます。

Bardもそうで、Bardの場合はGoogle Workspaceの管理コンソールの「アプリ」>「その他のGoogleサービス」>「早期アクセスアプリ」をONにすれば使えるのですが、現状ではSGEはそれをしても使えないようです。

Bardも最初はそうだったので、いずれこの設定をすれば使えるようになるかもしれません。それまでは、会社のアカウントではなく個人アカウントでログインして利用しましょう。

SGEの一般公開はいつから?

現時点では「生成AIは試験運用中のため、品質にむらがある可能性があります。」という表記がされますし、ユーザー側としても上記手続きを踏んで初めて試験利用が可能な段階です。

ではいつから一般ユーザーの目に触れることになるのでしょうか?

まだ発表はされてませんが、日本版の試験運用終了日が2024年2月と記載がありますので、そのあたりというのはひとつの目安として考えられます。

なお、米国版の試験運用は2023年12月終了となっています。

SGEに伴うGoogle広告の表示に関して

2023年9月時点

Google Japanによると、Google広告はSGEよりも上に表示される予定です。2023年9月時点日本版SGEではGoogle広告がほとんど表示されませんでした。下の画像はGoogle公式ブログの発信内容に合わせてロボット掃除機を探すための検索クエリにしてますが、例えば「エアコン」など、まず広告が出るはずのクエリでも出ませんでした。広告主からすれば一定の割合、広告の閲覧者が減っていたわけです。

SEOで上位を獲得して資産となるホームページとし、広告費削りたい方は、ぜひBringFlowerにご相談ください。

2023年8月30日時点での検索結果画面

Google広告が表示されるケースも稀にあります。この例は「法人携帯」で検索しています。通常なら4つ広告が表示されていますが、SGEと共に表示されているケースでは広告が1つのみです。ユーザーとしてはこのくらいにしてもらった方が有難いですけどね。また、SGEが背景色付きで示されるので、広告との違いが従来よりも分かりやすくなっているのも有難いです。あくまで試験中だからSGEの区別が分かりやすく示されているだけのような気はしますが・・。

SGEと共にGoogle広告が表示された例
通常のGoogle検索におけるGoogle広告表示

2023年10月確認された変更

これまでは、SGEが広告よりも上部に表示されたり、表示される広告の数が通常より少なかったり、表示領域が最初から広かったのですが、2023年10月11日時点で確認したところ、広告の表示は通常通りで上部に表示され、SGEの表示領域はデフォルトでは狭くなっています。「もっと見る」を押すと広がる形です。

だいぶ現実解に近づいてきている感じはします。これまでの表示はあくまでもSGEに気付いてもらいやすい状態でテストするためだったのだと考えられます。

日本版SGEの表示内容詳細

日本版SGE表示内容の基本

日本版のSGEについて、基本的にはこの後ご紹介する米国版とレイアウトや機能は同じです。

注目すべきことの一つに、右上に引用元サイトへのリンクが示されているという点があります。上に示している例では、SGE内で最初に示されている(一番左の)記事は、通常の検索結果リストの3番目にあたり、SGE内左から2番目に示されている記事は、通常検索結果リストの1ページ目にも見当たりません。

つまり、SGE内で引用元になるウェブページの判断基準と通常のSEOの検索順位の判断基準が大きく異なります

このままでいくと、SEOは大きく変わることになりますね。いかにSGEの引用元となり、かつ引用元リストでも先頭に表示されるようにするか、という観点が加わることになります。一つには、網羅的に分かりやすく内容が書かれているということはこれまで通りに重要になります。そこはAIライティングツールが登場してきているので、うまく活用して時間を短縮しましょう。BringRitera(ブリングリテラ)がおススメです。

従来の「青い10個のリンク」で上位を獲得するためには、これまで以上にオリジナリティが求められることが予想されます。BringRiteraはその観点まで示します。

SGE内引用元リンクの表示基準調査結果

「法人携帯」で検索したときのSGE内引用元リンク5つと、通常の検索上位5つを比較してみました。調査日は2023年9月2日です。

SGE引用元リンクの表示

SGE内で示されている文言の情報源(引用元)になっているかどうかを確認してみました。

「法人携帯とは、会社名義で携帯を契約することです。」との記載がSGE内にあったので、その記載があるページを確認したところSGE内関連ページの4つ目にありました。

引用元:https://office110.jp/business-mobile/knowledge/what/function-difference/

「個人契約よりも通話料金を50~80%削減できる場合があります。」との記載がSGE内にあったので、その記載があるページを確認したところSGE内関連ページの3つ目にありました。

引用元:https://www.tramsystem.jp/voice/voice-4570/

これら見ていただくと分かりますが、該当する文字の背景に色がついています。通常でもついているわけではなく、SGE内の関連リンクをクリックしたときにだけ色付きで表示されます。つまり、この部分がSGE内表記の引用部分である、ということがGoogleにより示されています。

SGE内関連リンクをクリックしたときのURLが、

https://www.example.com/articles/#:~:text=xxx

のようになります。xxxのところに、SGEの引用元に関連するテキストが入るようです。これにより、関連個所に色が示されるという仕組みになっていると考えられます。

これで、はっきりとSGE内表記の引用元になっていることでSGE内に表示されることが読み取れます。

では、どうすれば引用元になれるのか?色々とSGEを見ていて、通常なら上位に表示されなさそうなページが引用元として表示されることが多い感じがしています。そこでSEOツールのhrefsで示されるドメインランク(一般的にはドメインパワーと呼ばれる)を比較してみると、次の表のように、やはり通常の上位よりもドメインパワーが低い傾向にあるように感じられます。

参考:ドメインパワーとは?SEOとの関係について

ドメインパワー(hrefsのドメインランク)の比較

次に、最終更新日とページ種類の比較です。記事ページなのに更新日が掲載されていないなど、しっかりSEO対策しているという印象がないページが関連リンクとして示されるケースがあると思います。

通常の検索上位はトップページが表示されることがありますが、SGEの引用元になるには、しっかりと検索キーワードの検索意図に応える説明がされているようなページが示されるという傾向はあるように感じます。

表示順SGE内引用元リンク先通常の検索上位
1位3879
2位4134
3位3290
4位5450
5位6574

最終更新日とページ種別の比較

表示順SGE内引用元リンク先通常の検索上位
1位2022年2月8日(記事)不明(カテゴリートップページ)
2位不明(記事)不明(トップページ)
3位2021年12月20日(記事)不明(カテゴリートップページ)
4位不明(記事)2023年8月31日(記事)
5位不明(記事)2023年5月2日(記事)

以上から、SGEの引用元となる基準がこの方針のままだとすれば、これまでドメインパワーが低いために上位獲得が難しかったようなサイトが、記事の品質によりSGE内に表示されることを目指しやすくなる可能性があると言えます。

ただし、一定のE-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)がないと表示されないだろうとも思います。

引用元リンク示し方変更の予定

2023年8月31日(米国時間)、引用元リンクの示し方変更についてGoogle公式ブログで発表がありました。どのリンクがどの部分の引用なのか、引用元リンク先を表示してみないと分からなかったのが、矢印ボタンを押すことで、アコーディオンの形で開いて確認することが可能になりました。米国で先行してスタートしていたのが、9月下旬、日本でも適用されていることを確認しました。

追加質問候補

SGE内下部には、追加で質問するためのボタンと、追加の質問候補が表示されます。

追加質問をすると、SGEが下部に広がって回答結果が表示されます。さらに追加の質問を続けることもできます。

米国版SGEと日本版SGEの違い

現時点、日本版SGEは米国版SGEとは違って、商品のリストを示さないようです。後述する米国版SGEの例ではサイクリング用のサングラスのリストが示されるので、それを出してくれそうな検索キーワード「サイクリング サングラス 購入」と入力して検索しても、SGE自体が表示されません。

それだけでなく、おそらくDoクエリ、Goクエリ、Buyクエリ、KnowクエリのうちのKnowクエリだけがSGEが表示されるように感じます。米国版はそれぞれSGEが表示されます。

SGEが初期状態で閉じられている場合もある

次のように、広く知られているような内容の場合に「はい」を押して初めてSGEが広がって表示されるというケースもあるようです。

YMYL領域のKnowクエリでは注意書き

YMYL領域のKnowクエリで表示されるSGEには、「これは情報提供のみを目的としており、医療上のアドバイスや診断を行うものではありあせん。」という注意書きが表示されます。

SGEにこの注意書きが表示されるかどうかで、GoogleがYMYL領域の検索クエリだと判断しているかどうかが分かりそうです。そういったSEOテクニックが生まれるかもしれませんね。

実際に試した所感

人によるとは思いますが、私は恐らくSGEはあまり見ずに、これまでにもあった「青い10個のリンク」を見にいくと思います。

ひとつには、文字が多い。かつ情報が足りないのと、サイト発信者の情報を確かめたくなると思うんですよね。

一方で、YMYL領域はSGEの情報をまずしっかり確認するかもしれません。このあたりは私がSEOの専門家で、いかにGoogleがYMYL領域に対してシビアかを知っているから、というのももちろんありますが。

米国版SGEの表示内容詳細

こちらは先行して試験されていた段階で、米国版で実際に試した人の動画です。

YouTubeで「Search Generative Experience」で検索すると他にも色々出てきますが、複数の検索クエリで、SGEの表示内容をたくさん見せてくれている動画なので、これを参照して表示内容をご紹介します。

Doクエリ(~をしたい)の表示

次の画面は
「truck accident lawyer boston」
で検索しているので、日本語だと
「トラック 交通事故 弁護士 ボストン」
で検索しているような感じです。

弁護士に相談したいというDoクエリであるという特徴と、単語をいくつか入力するという、従来の検索方法という特徴があると言えます。

この場合、該当する弁護士のリストが表示され、右上にはそれとは別に関連リンクが示されています。

リストの下の方には、続けて質問する場合の候補リストが示されています。
例えば「トラックの交通事故で弁護士にかかる費用は?」というような質問です。

質問をクリックすると、その下に続けて回答内容が表示されます。

Buyクエリ(買いたい)の表示

次の画面は
「what are the best sunglasses for cycling」
と検索しているので、日本語だと
「サイクリングに最適なサングラスを教えて」
という感じで検索した結果です。

先ほどの例とは違い、従来の単語を繋げる検索方法ではなく、AIチャットボットに対して入力するようなクエリだと言えます。
また、「~を買いたい」というBuyクエリだという特徴もあります。

最初に、次のような文章で、どのようなサングラスがサイクリングに適しているかが示されています。

  • 保護性:物から目を防ぎ、視界をクリアにするか
  • 快適性:快適で、フィットするかどうか
  • 耐久性:柔らかく、壊れづらいか
  • 見た目:ウェイファーラー(サングラス商品のシリーズ名)のようにクラシックなデザイン

その次に、amazonなどから商品へのリンクがリストで示されています。

右上に関連リンクが表示されるのは先ほどの例と共通です。

Goクエリ(~に行きたい)の表示

次の画面は
「things to do in atlanta」
と検索しているので、日本語だと
「アトランタで行くべきところ」
のような感じで検索した結果です。

アトランタで行く場所を探している感じなので、Goクエリ(~に行きたい)と呼ばれる種類の検索クエリであるという特徴があります。

スポットリストが示され、GoogleマップがSGE内右側に示されています。

右上に関連リンクが示されているのは他の例と共通です。

Knowクエリの表示

次の画面は
「what is the fastest land animal」
と検索しているので、日本語だと
「地上の動物で最も早いのは?」
のような感じで検索した結果です。

Knowクエリ(~を知りたい)であるという特徴のある検索です。
この場合、「最も速い地上の動物はチーターです」という書き出しの文章が示され、右上には他の検索クエリと共通で関連リンクが示されます。

簡潔に回答が示されているので、他の例と比べて、SGEの表示領域が狭くなっています。

2023年8月15日追加:SGEの3つの新機能

2023年8月15日、以下のの3つの新機能が搭載されました。

参照:
Learn as you search (and browse) using generative AI(Google公式ブログ)
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1524068.html(日本のニュースサイト)

単語の説明

特定の単語にカーソルを合わせると、その単語の説明が表示されます。図解入りの場合もあります。

長文の要約

ページ内の長文箇所について、要点を示してくれます。

プログラミングコードの色分け

コードが表示されたときに、キーワード、コメント、文字列などの要素が色分けされて示されます。プログラミングをする際のエディターでは一般的に色分けして示されますので、開発者にとっては喜ばしい内容だと思います。

2023年10月12日米国版に導入:画像生成機能と文書生成機能

画像生成機能

生成AIは画像、イラスト作成においても目覚ましい進歩を遂げています。OpenAIのDALL-Eや、Stable Diffusionなどが台頭していますが、GoogleもImagenという名称の独自のアルゴリズムを持っています。

それをSGEに搭載してきました。

検索窓に作成して欲しい画像の内容を入力すると4つの画像が生成されるようです。いずれかを選択後、さらに指示をすることで変更も可能です。

文書生成機能

BringRiteraに代表されるように、ChatGPTのAPIを用いたSEOに強いAIライティングツールが登場してきています。ChatGPTはそのように記事を作成する以外にも、プレスリリースを作成したり、歌詞を書いたりと、質問に答えるだけでなく、様々な用途・目的に合わせた文書生成能力が高いことでも重宝されている面があります。

そんなChatGPTにユーザーが費やす時間を奪われないようにするためでしょうか、文書生成機能まで付けてきたようです。

2023年11月8日発表:120カ国への展開と2つの新機能

2023年11月8日に発表された内容が次の記事です。
Generative AI in Search expands to more than 120 new countries and territories

120カ国に展開

新たに、メキシコ、ブラジル、韓国、インドネシア、ナイジェリア、ケニア、南アフリカなどの120カ国で試験提供開始と発表されました。日本はかなり先行してSGEが展開されていた状況でした。

言語としては、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、インドネシア語の4言語に新たに対応されます。

追加の質問の支援機能

元々、SGEには追加で質問をする機能がありました。この機能が好評とのことです。関連する質問が表示され、追加の質問がしやすくなります。

Google翻訳で複数の意味を持つ単語にそのことを示す

Google翻訳で、複数の意味を持つ単語があった場合に、そのことが示されるようになります。SGEとは直接関係ないように思いますが、これも生成AIの機能ということでしょう。

SGEを実際に試行したユーザーの声

Googleの発表によると、特に若いユーザー(18~24歳)の間で新たな体験を楽しんでおり、これまで検索しなかったような内容を探索しているという、肯定的な意見が見られているとのことです。

一方で、SNSやウェブサイトの記事などで試した人の声を調べてみると、内容の正確性については今後の課題として挙げる人は多いです。

SGEとBardとの関係

用いられている技術はChatGPTの対抗馬と目されているGoogleのAIチャットボット「Bard」とは別です。BardはGoogleの持つLLC(大規模言語モデル)のうち、当初は「LamDA」が用いられ、その後「PaLM 2」に変更になり、2023年12月7日には「Gemini」への変更が発表されました。SGEはその「Gemini」と、従来の検索エンジンにも用いられている「MUM」が用いられています。

「MUM」は単語を繋げて検索するという従来の検索方法の検索意図を推測するための技術なので、検索窓が従来の検索エンジンと共通になっている現状、使われているということだと思われます。

活用サービス活用されているAI技術
RankBrainBERTMUMLaMDAPaLM 2
Googleの検索エンジン××
SGE×××
Bard××××

SGEとBingとの違い

OpenAI社に多額の投資をしてきたMicrosoftのブラウザEdgeと、それ上で動く検索エンジンBingでは、すでにChatGPTをベースにしたチャットが使えます。Googleの発表したUIと大きく異なるのは、通常の検索とChatが分かれていることです。

それに対してGoogleのSGEでは検索窓が通常の検索エンジンと共通化されていて、回答を分けるという風にしている点が大きく異なります。

ユーザーのことを考えれば後者、すなわち現状のSGEの方が良いだろう、という風に私は思います。少なくとも私はそちらを使います。

もちろん今後、これらは変わるかもしれませんが。

Googleの試行錯誤

Googleが検索結果画面上部に表示する内容はこれまでも試行錯誤が繰り返され、試されたものの姿を消してきたものも多くあります。直近では、X(旧Twitter)のつぶやきを3つ表示しているときもありました。X(旧Twitter)をあまり見ない私個人的には、逆に見ようと思うきっかけになるのであれ欲しいんですけどね。

ただX(旧Twitter)のそれが特にGoogleからの公式アナウンスがないのと同様、通常は公式ブログでアナウンスはされないので、今回の発表内容は、かなりの確度で将来的に継続的に反映されるでしょう。

個人的にもChatGPTは現在たまに利用しますが、やはり普段はGoogleを使う中で、切り替えが面倒であるため、「ユーザーに焦点を当てる」Googleだからこそ、利便性を考えて検索とAIチャットは融合させる形とするだろうというのは思います。

SGEでSEOは終わるのか?

検索クエリはGoogleの定義で、

  • Knowクエリ(~を知りたい)
  • Goクエリ(~に行きたい)
  • Doクエリ(~をしたい)
  • Buyクエリ(~を買いたい)

の4つに分けられています。SGEの表示内容もこの区分で示しました。
この区分ごとに、SGEによってサイトのSEOがどう変わるか、考えていきたいと思います。

Knowクエリ(~を知りたい)への影響

Knowクエリに関しては、最も確度高くサイトへのトラフィックが減ることが想定されます。
例えば「〇〇 電話番号」などと検索すれば電話番号が検索結果画面に出てくるように、ウェブサイトに訪れずにユーザーが検索を終えるパターンを「ゼロクリックリサーチ」という風に呼びます。すでにゼロクリックリサーチは増えてきており、SGEによって益々増えるだろうと予想されます。

ただし、「~を知りたい」に対しての回答が「一般化した内容」に限られるとも思います。

こういった検索クエリに対する対策は、どうすれば引用元コンテンツとして扱われるか、そして、どうクリックしてもらうか、ということを考えていくことになるでしょう。

おそらく、通常のウェブページに書かれている内容を要約して示すということをすると思われるので、AIが要約しやすい文章、コンテンツを考えるということが求められることになるのでは、と予想します。

Buyクエリ(~を買いたい)への影響

現時点の米国版SGEの表示内容だと、Buyクエリはかなりの影響があるでしょう。
まず、Buyクエリを狙ったアフィリエイト記事は大打撃を受けることになると思います。
「サイクリング サングラス」で従来のGoolgeで検索すると、現時点で1位はアフィリエイト記事です。

アフィリエイトは特定のジャンルの商品への購入意欲がある検索クエリを狙って記事が書かれることが多く、そこに張られる広告リンクは、そのユーザーの検索履歴や閲覧履歴とは関係がありません。その商品を記事の中でおすすめしたうえで商品購入ページへのリンクを張るという手段が取られています。

一方でGoogleアドセンスは検索履歴や閲覧履歴をもとにユーザーの嗜好に基づいて広告を表示します。

後者はGoogleの売り上げに直結しますが、アフィリエイトはGoogleの売り上げに直結しないという違いもあります。

また、「サイクリング サングラス」の検索ワードだと楽天は4位に表示されています。このように、ECサイトは指名検索での流入だけではなく、自然検索での流入もかなりあるので、ECサイトも影響は不可避です。SGEにECサイトへのリンクが示されるということは、いかにそこに表示されるかが大事となり、場合によっては今よりも流入が増えるサイトもあるでしょう。

楽天などはサイト内の上部に表示する広告枠を用意しているので、そのようなビジネスモデルも影響を受けます。

ただ、商品へのリンクを上部に示すというのはGoogleにとって、これまででもできたはずのことであり、ただSGEがそれを大量に示すということをしているだけとも言えます。

例えば、賃貸物件を探す場合、現在ではSUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトか、あるいは不動産会社のサイトに掲載されている物件の中から探すということをする人が多いかと思います。
物件がSGEに示されればそこから探す人も出てくるかもしれませんが、SUUMOなどの物件リストをSGEに表示するか?というと、サングラスと同じようにはGoogleが扱わないような気がします。
その理由の一つとして、不動産広告はルールが厳しく決められていて、そこまでGoogleが責任を負えないはずだからというのもあります。

SUUMOやHOME’Sなども、「地域名 賃貸」などの検索クエリに対してGoogle広告を表示させていたりするわけですが、SGEに物件情報を出されてしまうと、Google広告の価値が下がり利用者が減るので、Google自身の広告収入も減ることになりかねません。あるいは、Googleは広告枠をSGE表示枠に移して、SGEに対して事業者は広告費を支払うことになるのか。

このように、SGEの表示内容によってGoogle自身の売り上げにもマイナスの影響を与える可能性がありますし、そもそもユーザーの利便性にとってどうあるべきなのか。Googleなのでまずはそこを考えることでしょう。
その結果、SGEの表示は今のままになるのかというと、そうではなくて、どのような観点で選ぶべきかというような主旨の文章だけになるような気もしますし、どうなるか読みづらいです。

なお、現時点でChatGPTでは、物件情報を探そうとしてもアドバイスに留まります。

Goクエリ(~に行きたい)への影響

次の画面は「京都 おすすめスポット」で現在のGoogleで検索した結果です。

このように、現時点でもリストが示され、SGEとさほど変わらないと言えます。こちらの1位の記事はホテルへのリンクが張られていたりするわけですが、この種のビジネスへの影響はあると思われます。ただ他の検索クエリに比べると影響が小さいかもしれません。

Doクエリ(~をしたい)への影響

次の画面は「渋谷 交通事故 弁護士」で現在のGoogleで検索した結果です。

こちらもGoクエリと同様の感じだと思います。SGEに表示されるリストって、Googleマップに表示されるリストと同じロジックで表示するのでしょうか・・。気になるのはそこです。

Googleマップの表示リストで最も効果があるのは好評価な口コミの数です。ユーザーにとって有益な情報として適切なのかどうか、微妙ですよね。

SGE搭載後におけるウェブサイトの存在意義

上述の通り、一般化した内容に関しては、生成AIの回答結果で満足が得られるようになっていくでしょう。一方で、生成AIは堂々と間違ったことを言うことが多々あるので、信用できず見ないという行動を取るユーザーも出てくるかもしれません。そもそも、SGEで表示される内容はウェブサイトの情報がもとになるので、ウェブサイトの更新が途絶えればSGEの発展もなくなることとなります。

検索エンジン自体がなくなってしまうと、人々が作ったウェブサイトを見る手段が狭まります。指名検索ならばChatGPTでもできますが、ウェブページを検索する手段がなくなると、作り手側はウェブページを作るモチベーションが下がります。インスタやX(旧Twitter)で情報を発信する人も多いですが、あれらのサービスは企業に依存しています。なくなることだってあり得ます。ウェブサイトを作るのに用いられるHTMLという技術自体は、オープンな技術であり、企業に依存しません。

ウェブサイトをオープンにするという文化と、それを検索するための検索エンジンという物自体はまだ当分は残るように思えます。

一方で、ウェブ集客という文脈では、SGE内に表示される引用元リンク、関連リンクに対する対策を考える必要が出てくるというのはあるでしょう。

SGEと著作権問題

SGEは現状、引用元は示すものの、ほとんど同じ文章を引用する傾向です。これに対してメディアが危機感を募らせており、日本では文化庁が議論を続けています。2023年12月20日には次の資料が公開されました。

AIと著作権に関する考え方について(素案)

SGE搭載後におけるSGE対策とSEO対策の未来予測

SEOはSearch Engine Optimizatonの略であるため、Google検索エンジンやMicrosoftのBingのことを検索エンジンと呼ばなくなれば、SEOという呼び方は変わるかもしれませんが、SGE対策というのはSEO対策の中の一つになるでしょう。以下にSGE対策のポイントとなりそうなところを記載します。

コンテンツの質と信頼性

SGE内に表示される引用元リンクは、Googleから見て信頼できる先が選ばれるでしょう。その観点は現在の「青い10個のリンク」で上位を獲得するうえでも必要です。「SGE内引用元リンク」と、従来からある「青い10個のリンク」の掲載順位は異なるのですが、両方で上位に掲載されるケースも多いです。

網羅性

現時点で引用元になっているコンテンツは記事型コンテンツが多く、サイトのトップページが表示されるようなケースというのは少ないと考えられます。記事型コンテンツで上位を獲得するには、一般的な内容を網羅的に含んでいることが求められます。そこには時間をかけたくないところです。BringRitera(ブリングリテラ)のように、そのために必要な時間を大幅に短縮するツールもリリースされており、SEO対策自体、AIの活用は進むと考えます。

オリジナリティー

一般的な内容がSGE内で分かるようになるので、従来の「青い10個のリンク」での上位獲得においては特に、今後はよりオリジナリティー(独自性)が上位表示の秘訣になると考えています。BringRitera(ブリングリテラ)はそのためのアドバイスもしてくれます。

【SEOにおける潮流】オリジナリティー(独自性)

要約のしやすさ、内容の分かりやすさ

すでに述べた通り、SGE内引用元リンクの表示順序と、従来の青い10個のリンクの掲載順位は異なります。そのため、SGEの引用元となるようなコンテンツを制作するという観点がSEOに加わることになりそうです。

2023/8/15にはページの内容を要約して示してくれる機能もリリースされたように、SGEが要約して示せるような文章全体の分かりやすさ、というのも今後ポイントになるかもしれません。

あるいは、部分的にSGEに引用されやすい文章があればよいのか。

コンテンツの質と信頼性、オリジナリティーというのはこれまでのSEOでもあった概念ですが、要約のしやすさや、内容の分かりやすさというのは、新たなポイントとして生まれてくる可能性を感じます。

SGEに表示させたくない場合

あまりそういう方はいないと思いますが、SGEに表示させたくない場合は、metaタグを使って次の記述をします。

<meta name="googlebot" content="nosnippet">
<meta name="googlebot" content="max-snippet:0">

ただし、この記述をするとSGEに限らず、スニペットと呼ばれる部分が表示されなくなります。googlebotのところはrobotsとすることで、全検索エンジンが対象となります。

max-sunippet:0の0はスニペットに表示させる文字数の上限を指しています。例えばそこを50などとした場合にSGEがどう扱うかは不明です。

まとめ

ダーウィンの進化論を書き残してまとめにしたいと思います。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、生き残るのは変化できる者である。

SGEにより、Googleは変化できる者だと示してくれたでしょうか。

私は飽きっぽい性格なので、好きなジャンルに関しては変化が楽しいです。
私も生き残るタイプです。

変化が激しい、いい時代に生まれたなぁ。

著者のイメージ画像

BringFlower
稲田 高洋(Takahiro Inada)

2003年から大手総合電機メーカーでUXデザインプロセスの研究、実践。UXデザイン専門家の育成プログラム開発。SEOにおいても重要なW3Cが定めるWeb標準仕様策定にウェブアクセシビリティの専門家として関わる。2010~2018年に人間中心設計専門家を保有、数年間ウェブアクセシビリティ基盤委員も務める。その後、不動産会社向けにSaaSを提供する企業の事業開発部で複数サービスを企画、ローンチ。CMSを提供し1000以上のサイトを分析。顧客サポート、サイト運営にも関わる。
2022年3月にBringFlowerを開業し、SEOコンサル、デザイン、ウェブ制作を一手に受ける。グッドデザイン賞4件、ドイツユニバーサルデザイン賞2件、米国IDEA賞1件の受賞歴あり。
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