サイト制作プロセス・運用
「エックスサーバー」と「Conoha WING」を両方利用している人による徹底比較

ホームページを公開するにはウェブサーバーが必要です。現在は大きな企業であってもレンタルサーバーを利用しているケースが多く、個人であればなおのこと、レンタルサーバーを利用するのが一般的です。
調べると性能では「エックスサーバー」と「Conoha WING」が良いということが分かると思います。料金面を見るとこの2つより安いサーバーもありますが、初回契約分に関しては月に300円程度の差です。
私は「エックスサーバー」と「Conoha WING」の両方を現時点で利用中です。実際に利用している経験をもとに、この記事では徹底比較してお伝えします。
結論から言うと、私のおすすめはレンタルサーバーは「エックスサーバー」です。
その理由について、細かくご説明します。
レンタルサーバーとは?
ホームページは、htmlファイルやphpファイルなどの電子ファイルでできています。その電子ファイルを保管する場所がレンタルサーバーです。レンタルサーバーのことをウェブホスティングと呼ぶこともあります。自宅のPCに保管ではダメかというと、それでも公開できないことはありませんが、専門的な知識が必要となりますし、公開し続けるにはそのPCを起動し続けている必要があります。PCが故障すればホームページは表示されなくなります。
レンタルサーバーは、ドメイン(例:example.com)の購入と設定、URLのリダイレクトの設定や、SSLと呼ばれるセキュリティ対応など、ホームページの運用に役立つ機能もたくさん備わっていますし、それらが簡単に実行できます。
レンタルサーバーの種類
最も高機能なサーバーとしてはAmazonのAWSや、GoogleのGCPがあり、相当なアクセス数が見込まれる大規模なウェブサービスなどはこれらを利用しているケースもありますが、一般的なホームページであれば「エックスサーバー」または「Conoha WING」が性能面として十分かつ、他のレンタルサーバーよりも優れています。
「エックスサーバー」と「Conoha WING」を比較する理由
「エックスサーバー」と「Conoha WING」以外に、よく使われているレンタルサーバーとしては以下が挙げられます。
- さくらサーバー
- ロリポップ
安さ(コスパ)で選ぶならこの2つのどちらかの比較になると思います。しかしいずれも、「エックスサーバー」や「Conoha WING」と比較すると体感的に明らかに遅くなります。特にさくらサーバーは、やけに遅いと思うサイトが多いです。
どのように遅いかというと、メニューをクリックしたときにそのページが表示されるまでの時間で、2秒ほどかかる感じがします。これはサイトの離脱に繋がりかねないですし、GoogleのSEO評価指標の一つに、サイトの表示速度が含まれますので、SEOで不利になり得ます。
なお、ロリポップの運営元はConoha WINGと同じGMOグループなので、明確にConoha WINGよりも低スペック低料金という位置づけなのでしょう。
「エックスサーバー」や「Conoha WING」と比べて初回契約分では月額で200円~300円程度の違いなので、であれば「エックスサーバー」や「Conoha WING」の性能を選んだ方が良いと思います。
とにかく動けばいい、少しでも安く、という方は「ロリポップ」を検討してもよいかもしれません。
比較的新しいサービスで、「エックスサーバー」と運営会社が同じ「シン・レンタルサーバー」があります。「エックスサーバー」よりさらに高性能で、サポートなどサービス面で劣り、その代わりに安いようです。実際に使ったわけではないですが、後述する「エックスサーバー」をおすすめする理由の大きな1つにサポート面がありますので、私は「エックスサーバー」をおすすめします。
「エックスサーバー」と「Conoha WING」の徹底比較
概要の比較
「エックスサーバー」と「Conoha WING」を私の体験も踏まえて比較すると次のようになります。
料金や特典は2023年6月時点です。料金はその時のキャンペーン内容によって多少変わります。キャンペーン自体をやってないときというのは私は見たことがありません。もしキャンペーンをやってなければ、開始まで待った方がよいかもしれませんね。
比較項目 | エックスサーバー | Conoha WING |
---|---|---|
表示速度 | ◎ 十分早い | ◎ 十分早い |
料金 | 693円/月~ | 687円/月~ |
管理画面の 使いやすさ | 〇 メニューがたくさん並ぶ形式でクラシックな印象はあるが、ブラウザの文字検索をすると目的のメニューが見つかるという良さがある もう少し分かりやすくして欲しいと思うことはある 個人的に、表示崩れを指摘して直してもらった経験あり | △ シンプルで今どきな感じの画面だが、メニューの分け方が分かりやすいとは言えない 例えばドメインを操作しようとしたときに、2つの入り口のうちどちらだったかわからなくなることがある |
特典 | ドメイン1つ無料 | ドメイン2つ無料 |
無料利用期間 | 10日間無料お試し | 初月無料 |
動作の安定性 | ◎ 安定している | ○ 現在は安定しているようだが、サービス開始当初は大規模障害発生があった模様 |
サービス開始時期 | 2003年7月~ | 2018年9月~ |
無料SSL | あり | あり |
SSL反映時間 | 〇 1時間程度 | × 数日間かかることあり |
アダルト コンテンツ | 不可 | 不可 |
自動 バックアップ | 直近14日分 | 直近14日分 |
WordPress 簡単インストール | あり | あり |
WordPres 簡単引っ越し | あり | あり |
サポート | ◎ きちんと解決してくれる。 電話の場合、技術的な質問には答えてくれず、フォームで問い合わせるように言われる。 フォームで問い合わせると、当日か、遅くとも翌営業日には適切な回答がもらえる。 フォームであれば、分かる人が必ず確認するというプロセスになっていると思われる。 | 〇 フォームで問い合わせても返事がない。 電話には出てくれる。当然ながら人により知識量の差があるので、電話に出た人によって回答の品質のばらつきがある。 SSLの反映にやたらと時間がかかった際に問い合わせをしたが、すっきりする回答がもらえなかったことがある。 夏季休業あり。 |
性能、機能、料金面ではほとんど差がありません。厳密にはConoha WINGに若干軍配が上がるのですが、通常利用では気づくことはない程度の差です。
私が「エックスサーバー」をおすすめする決め手は、サポートです。電話だと、分からないのでフォームで質問して欲しいと言われることがありますが、私が質問するケースというのは技術的な内容だったりするので、全てのサポートメンバーがそれに答えられるようにするというのが難しいのは分かります。
フォームで質問すれば当日中、遅くとも翌営業日に的確な返信が来るので、エックスサーバーは安心感があります。
一方の「Conoha WING」のサポートは表に記載の通りですが、フォームで質問しても回答がありませんでした。調べると、そのような評判を他でも見ます。エックスサーバーと比べて電話に出る人が割と詳しいという面はあるものの、当然ながら人によって差があり、確実に的確な返事が返ってくるエックスサーバーの方が私は良いです。
また、Conoha WINGでSSLの反映にやたらと時間がかかるというのは、個人的に本当に困りました。ネットで調べると、同じような経験をした人の体験談をいくつか見ます。
2023年8月中旬、何故かSSLの更新に失敗するので、conoha WINGに問い合わせをしたら夏季休業中ですというアナウンスが流れました。
Conoha WINGはSSLにクセがありますね。
管理画面比較
エックスサーバー
エックスサーバーの管理画面はメニューがたくさん並ぶ形式でクラシックな印象はありますが、ブラウザの文字検索をすると目的のメニューが見つかるという良さがあります。
例えばこのメニューの中から、.htaccessはどこだっけな?となったとしても、「htaccess」と検索すればメニューが見つかるということです。

Conoha WING
Conoha WINGの画面は次のようにシンプルなのですが、例えばドメインの設定を行いたいと考えた場合に、左側のメニューの下から2番目にある「ドメイン」と、真ん中の列にある「ドメイン」の2つあって、目的のメニューが探しづらいという問題があります。
また、メニューを選択したときに切り替わりがとても遅いです。
なのでエックスサーバーの方が良いと思います。

もしどうしてもこの画面の方が好きだという方がいればConoha WINGにすると良いと思います。
スペック詳細比較
主に速度差に効いてくるスペックを比較すると次のようになります。
先ほどお示しした料金は両者の最も安いプラン(エックスサーバー:スタンダードプラン、Conoha WING:ベーシック)で、それらプランで十分です。見ての通り全く同じです。
比較項目 | エックスサーバー | Conoha WING | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
スタンダード | プレミアム | ビジネス | ベーシック | スタンダード | プレミアム | |
ディスク容量 | 300GB | 400GB | 500GB | 300GB | 400GB | 500GB |
CPU | 6コア | 8コア | 10コア | 6コア | 8コア | 12コア |
メモリ | 8GB | 12GB | 16GB | 8GB | 12GB | 16GB |
転送量 | 無制限 | 無制限 | ||||
ディスク種類 | SSD/RAID10 | SSD/RAID10 | ||||
Webサーバー | nginx(Apacheも動く) | nginx(Apacheも動く) |
Conoha WINGのSSLのクセ
上述の通り、Conoha WINGはSSLの反映に時間がかかります。また、Conoha WINGは3カ月に1回、SSLの更新があり、その更新が上手くいかないという状況に現在出くわしています。
原因はおそらく、サイト内のリダイレクトにあります。htaccessで行っているそのリダイレクトについて、いったんその解除をして、SSLを再度申請、申請が完了したらhtaccessの設定を戻す、ということをしています。
それはないだろう・・と思っている現状があります。
なぜ「エックスサーバー」と「Conoha WING」の2つ使っているのか?
エックスサーバーで保有しているドメインのサブドメインを、別のアカウントで用いる必要があり、もしエックスサーバーでもう一つアカウントを契約して用いることができればそうしていたのですが、それができませんでした。ルートドメインとサブドメインを別のアカウントで用いるというのは、同じレンタルサーバー同士だとできない仕様となっています。
そのためConoha WINGを契約して、エックスサーバーで保有しているサブドメインをConoha WINGで使っています。
ウェブ制作会社に委託する場合もサーバーは自分で契約しよう
ウェブ制作会社に制作を委託する場合、ウェブサーバーを制作会社が管理したがるところがありますが、自分で契約したレンタルサーバーを使って欲しいと言うようにしましょう。
ウェブサーバーを自社で契約したがるところは、サーバー代込みと称して毎月の運用費を請求します。
大体そういうところは、1サイト当たりのサーバー代に、この記事で説明した中で最も安いさくらサーバーよりもさらに安い金額しかかけていません。私の経験上、多くはさくらサーバーを使っていて、しかも複数の顧客のサイトを1つの環境に共存させることでコストと手間をカットしています。
もっとひどいところは、聞いたこともないようなサーバーを使ってました。めちゃくちゃ遅かったです。
つまり、制作会社からすればサーバー代はほとんどかかってないのです。
サーバー代は上述の通り、個人で契約しても、たかが月に400~700円ぐらいの話です。
制作会社がサーバーを契約していると、解約したときにトラブルになることがあります。最悪、解約したらウェブサイトは表示されません、などと言ってくるところもあるかもしれません。さすがにそれはないとしても、なかなかサーバー移行をしてくれないという会社がありました。
自分でサーバーを契約していれば、業者を変えるときは、パスワードを変えて、その新しいパスワードを新しい業者に伝えればあとは勝手にやってくれます。
まとめ
基本的に私はエックスサーバー1択でおすすめしています。
エックスサーバーの良いところ
- 十分安い
- 早い
- サポートが良い
シン・レンタルサーバー
エックスサーバーよりも最新技術を試せて、安い。
Conoha WING
エックスサーバーを意識した性能と価格になっているので、サポートや管理画面のデメリットを気にしないなら少しだけ上回る部分もある。
ロリポップ
Conoha WINGと同じGMOグループ会社(ただし別会社)が運営、Conoha WINGとさくらサーバーの中間くらいの位置づけ。
さくらサーバー
動けばよくて、安くて老舗が良ければ。