サイト制作プロセス・運用

不動産のホームページ制作における留意事項、機能と事例12選

私は、ホームページ作成ツール含む不動産会社様向けシステムを開発・提供する企業で約4年間勤務しました。その経験も踏まえ、不動産会社様向けホームページによくある機能、あると良い機能をまとめてみます。

また、これら機能を有して洗練された、おしゃれなデザインの事例をご紹介するとともに、不動産ホームページ制作の意義、気を付けるべきことなどもお伝えします。

ちなみに私は、不動産業務勉強のため宅地建物取引士の試験を受けて合格もしています。

不動産ホームページのコンテンツ

不動産ホームページに必要な/あると良いコンテンツとしては以下が挙げられます。

  • 物件検索(賃貸/売買)
  • 貸したい人/オーナー向けコンテンツ
  • 売りたい人向けコンテンツ
  • お知らせ
  • お客様の声
  • スタッフ紹介
  • 会社概要
  • 不動産関連情報
  • 問い合わせフォーム
  • 来店、オンライン相談予約フォーム
  • 会員ページ

物件検索では、ターゲットとする層の方たちが探したい物件の条件で探しやすくなっているかどうかが重要となります。また、物件の広告は不動産公正取引協議会の定めるルールを守って、必要な情報を掲載する必要があります。

貸したい人向け、売りたい人向けのコンテンツは非常に重要で、これらの人をサイトから集客できるようになっていると強いといえます。

不動産関連情報、例えば最新の住宅ローン控除制度の話を載せるなどはサイト全体のSEO対策となり、コンテンツマーケティングとして重要となります。

不動産事業者が自社ホームページで物件広告を出す意義

今は個人事業主であっても事業内容を示すホームページというのは必須レベルです。例えば決済サービスなどのサービスに申し込むときの審査でホームページを示すことが求められたりもします。
ただ、そういった最低限の機能を果たすだけでなく、自社ホームページで物件の広告を出すとなると、不動産事業者にとってはワンステップ先の話とはなると思います。

  • 物件情報はどこに登録するのか?
  • SUUMOやHOME’Sなどの媒体にも登録し、自社ホームページにも別途物件情報を登録しなければならないのか?
  • 物件情報のメンテナンスは誰がいつやるのか?
  • 不動産広告のルールは遵守できているか?

といったことを考える必要があります。

とはいえ、ある程度の規模の不動産会社にもなれば、自社ホームページで物件広告を出すのは当たり前ともなっています。その意義は何か、売買と賃貸に分けてお話します。

売買

家を購入する方は、やはり即決はせずにじっくり探す人が多く、また土地、戸建てとなると他社では扱われてない掘り出し物を探したいと思う人も多いので、仲介を依頼せず自社で完結するケースが多いでしょう。いかに消費者の嗜好と意向をくみ取り、それに合った物件を提案するかなので、自社ホームページであっても、物件のすべてをあえて広告には出さずに会員登録に促し、登録の際に希望物件情報を取得するという手もよく使われます。物件の数も多くはならないので、物件登録の手間も賃貸に比べれば大きくはありません。

また、売却の依頼を受けているケースでは、売り主に対してのアピールという側面も必要となります。きちんと自社ホームページで広告に出しているかどうか、というのは売却依頼を検討する際に見られるでしょう。

賃貸

賃貸の仲介の場合はスピード勝負の側面があります。いかにいい物件を早く広告に出して、早く消費者に見つけてもらい、問い合わせをもらうか。その意味では、自動ではプッシュ型の通知を行うことができないホームページでの広告掲載は、媒体に出すのに比べて難しい側面はあるでしょう。とはいえ、媒体とは違い自社で広告に出すタイミングを決められますし、直接伝えたい顧客がいれば、LINEなどでそのページのURLを送るという手も考えられます。今はチラシを配るのではなく、URLを提示する時代です。LINE登録の入り口をホームページに設けているホームページも今は多いでしょう。

なお、賃貸で自社ホームページで多くの反響が得られるケースというのは、例えば音大生向けなど、何かの分野に特化しているケースと、特定の大学生向けの物件を多く扱っているケースが多いと思います。

一方で、自社管理物件の場合は、媒体には出さずひとまずは自社ホームページで反響を待つ、というのもあると思いますし、物件のオーナー向けアピールという意味もあります。

自社ホームページに物件広告を出す場合の留意点

不動産広告はルールが厳しくなっており、ホームページ上の物件表示も対象です。不動産の公正競争規約に具体的に掲載されています。「インターネット広告」「新聞折込チラシ等」「新聞・雑誌広告」の3つでルールが異なっています。

まず、おとり広告がNGであることはもちろんのことですが、表示しなければならない項目というのが細かく決まっています。

上述の、物件を広告に出さずに会員登録に促すという場合には、物件情報の一部を載せてはいけないということになります。

違反すれば宅建免許停止に繋がります。ライバル会社に通告されるリスクもあります。

そうならないように、必要な項目をあらかじめ用意してくれているホームページ制作ツールの場合は、常に最新の規制を把握の上更新されていきますので、その点で安心と言えます。ただし、ちゃんとした会社のものに限ります。その会社が無くなってしまうと、ホームページを失うことになりますので、財政基盤が整っている上場企業のものがよいでしょう。

不動産ホームページにあると良い機能

物件検索 物件名検索 マンションや建売現場などの名称で検索するユーザーが一定数います。
また、物件名で検索できると不動産会社様のご担当者がお客様にホームページで物件を見せるときに素早く物件ページを見せられるという面もあります。
絞り込み検索
(クイック)
価格、広さ、最寄り駅など、お客様が気にする主要な条件だけで絞り込める機能をトップページに掲載すると、お客様は素早く自分の気になる物件を見つけることができて、コンバージョン率の向上につながりやすいといえます。
絞り込み検索
(詳細)
物件がたくさん出てきてしまったときのために、物件ページに絞り込んで検索できる機能を設けるとお客様にとって便利です。
エリアで検索 市区町村などで絞り込んで物件を探せるようにします。
エリアで検索
(マップで選択)
市区町村などで絞り込んで物件を探す際に、エリアマップイラストから探せるようにします。
地図で探す Googleマップなどの地図上に物件のある場所を示し、それを使って探せるようにします。最寄り駅で探す場合はあまり使われないと思いますが、沿線がないようなエリアの場合、これで探す人も多いと思います。
沿線・駅名で検索 沿線→駅名で絞り込んで物件を探せるようにします。
学区検索 お子様のいるご家族にとって、「あの学校に行かせたい」はあるものです。ただ、各物件に、どの学区であるかのタグをつける作業となります。学区は頻繁に変わるため、不動産会社様によるメンテナンスの努力は必要となります。
特集物件 不動産会社様独自の条件を設定し、特集物件として提示します。学区検索はこの機能を利用した例の一つです。
物件検索補助 物件お気に入り登録 再度ホームページに訪れた時にお気に入り登録した物件が確認できる機能です。
検索条件保存 再度ホームページに訪れた時に保存しておいた検索条件で検索できる機能です。
物件閲覧履歴 再度ホームページに過去に閲覧した物件を確認できる機能です。
サイト回遊率/
コンバージョン率向上
会員登録 会員限定で示したい情報がある場合には会員登録機能の入り口をホームページに設けます。主に売買で、非公開物件を設ける場合に有効な手段です。
会員限定の
物件表示
会員限定物件があることをホームページ上で示します。不動産公正取引協議会による広告規制で決められていることとして、「表示すべき広告項目のうち一部の情報のみ表示してはならない」というのがありますので、価格だけ示すなどはNGです。示し方は留意が必要です。
パノラマ画像表示 物件のパノラマ画像を表示することで、お客様は事前に物件の詳細を知ることができます。サイト滞在時間を伸ばし、成約率の向上にも寄与し得るものです。
類似物件の表示 募集中/売り出し中の物件ページにおいて、類似の物件を表示することで、多くの物件を見てもらえるようにします。
類似建物の表示 後述する建物カタログページにおいて、類似の建物を表示することで、多くの物件を見てもらえるようにします。
初期費用提示 賃貸の場合、賃料よりも初期費用がお客様にとっての敷居となることがあります。初期費用をホームページ上で示すことで、お客様に安心して物件を探してもらえるようにします。
ローン
シミュレーション
購入する人にとって、ローンが借りられるか、いくらになるのか、といったところは気になるところですので、そのシミュレーションが物件ページ上でできるようにします。
来店予約 ホームページ閲覧時に来店の予約ができれば、お客様にとってひと手間省けますので、コンバージョン率の向上が期待できます。
多様な問い合わせ手段 LINE、チャット、メール、電話、オンラインMTG予約など現在は様々な連絡手段があり、どれを好むかは人それぞれです。学生など若い人は抵抗なくLINEで連絡する人も多い傾向です。
SEO title, h1の最適化 特定業種に限った話ではありませんが、特に不動産会社様ホームページの場合ページが多くなりがちなので、各ページでtitle、h1を最適化させることを手作業でやっていると大きな労力となります。WordPressおよびプラグインなど活用して効率的に最適なtitle、h1となるようにします。そもそも、title、h1の内容を考えるのは基本的なことでありながらノウハウが必要です。対象地域名は必ず入れるようにしましょう。
title, h1についてはこちらの記事で解説しています。
建物カタログ 募集物件/売り出し中物件以外の、自社が取り扱う物件の一覧をカタログのような形で示します。 これにより、物件名などで検索するお客様からのアクセス数を増やすことができ、サイト閲覧者にとって有益なページが増えますので、サイト全体の評価が高まることも期待できます。
パンくずリスト サイトの中のどこにいるかを示すパンくずリストは、サイトの滞在時間を伸ばす効果と、Googleにサイトの構造を分かりやすく示すというSEOの効果の両方が期待できます。
業務効率化・
業務支援
IT重説予約 宅建業法の改正により、オンラインでの重要事項説明が可能となりました。遠方のお客様などにとって利便性が高まりましたが、不動産会社様にとっては、日程調整の手間は残り、オンラインMTGツールでのURL発行の手間は増えました。この業務を効率化できるものとして、空いているところでオンラインMTGを予約してもらうことができるツールがあります。
サイト編集・管理画面のユーザービリティ サイトは更新頻度が高いほどSEOに有利に働きます。それがなくとも不動産会社様の場合、ご自身でサイトを更新する機会が多いでしょう。ご自身で簡単に編集できる管理画面を提供いたします。
物件閲覧数の確認 物件ごとの閲覧数をサイト管理画面で確認できるようにします。

不動産ホームページの制作・デザイン事例12選

ZOOM RENT

モノクロ基調のスタイリッシュでシンプルなデザインです。
こだわりを感じる物件の写真の撮り方で、それら写真を大きめに見せていて映えています。
物件の場所をマッピングした地図をトップのメインビジュアルのすぐ下に配置していますので、どのあたりの物件を取り扱っているのかがすぐに把握できます。

新着物件情報を知りたい人向けにメールマガジン登録の入り口を比較的目に入りやすい右上に配置、しっかりと追客できる仕組みも整えてます。

特集物件の中には「グッドデザイン賞」特集があるのも特徴的です。

さが売買ネット

安心感を感じさせるシンプルでスタイリッシュなデザインです。
トップのファーストビューで「沿線から探す」「エリアから探す」「校区から探す」「地図から探す」「物件名で検索」「物件種別で検索」と、いくつかの物件の探し方をわかりやすく提示しています。

売買専門のサイトになっており、「売りたい人」向けのページがしっかり用意されているのが特徴的です。売買の仲介では売り主の獲得が重要となってきますので、そのようなページを用意することを当方もおススメしています。

セクト賃貸ナビ

上品なサクラ色を基調にし、メインビジュアルでは適度に目に入ってくる動きをつけています。紺を基調カラーに対しての対比的なカラーとしてうまい配色です。

来店予約を選ぶと、店舗ごとに空いている時間が自動的に提示される仕組みも特徴的です。

不動産会社にとって、「地域名」×「賃貸」というキーワードはビッグキーワードで、SUUMOやHOME’Sなどの大手ポータルサイトよりも上位に表示させるというのが難しいのですが、このサイトは「北見 賃貸」で1位に表示されます。title要素などを見ても、しっかりとしたSEO対策がなされていることが分かります。

蛇足ですが、「地域名」×「SEO」、「地域名」×「ホームページ制作」もWeb幹事などのポータルサイトが上位を占めるのですが、SEOコンサルをサービスメニューとして持つBringFlowerのこのサイトは、2022年6月時点で「武蔵野市」×「ホームページ制作」で1位、「武蔵野市」×「SEO」で1位、サイト公開後4か月足らずでこの数字です。もちろんまだ上がり続けています!

賃貸京都.jp

フラットエージェンシーは京都の会社です。一目見て京都らしさが伝わってくるメインビジュアル、全体的に「かわいい」デザインですね。

ちなみに、この「かわいい」は「キュート」でもなく、「プリティ」でもなく、複雑な意味を持つため英語で当てはまる言葉がなく、世界共通語となっています。そのためBringFlowerのサイトのデザインサンプルでも「Kawaii」と表現しています。そして面白いのが、「Kawaii」のカテゴリーページはGoolge検索結果画面において上位に選ばれやすいです。「Kawaii」だけをウリにしているわけではない当方としてはトップページを上位にして欲しいのですが・・。Googleは他にない特徴的な言葉というのをひとつには見ていることがわかります。当方は、このようなことを日々観察、研究しています。

すみません、フラットエージェンシーのサイト紹介でした!マップのイラストからエリアを選べる形にするのは常套手段ですが、分かりやすいと思います。学生がターゲットになるエリアのため、LINEでの問い合わせをしやすくしていますね!

eHouse

シンプルでありながら、他とはちょっと違う感じのデザインが素敵ですね。ターゲットエリアを明確に、分かりやすくファーストビューで示しています。ターゲットエリアを分かりやすく示すというのは、不動産ホームページではSEOとしても、サイト滞在時間を伸ばすための施策としてもとても重要です。

三和地所(下関)

優しい感じのテイストのサイトです。地域に根差した不動産会社ということが伝わってきますね。

東京不動産

トップページに動画を使った事例です。東京駅のシーンから始まります。古風な東京と、新しい東京のシーンが繰り返され、そこにメッセージ性を感じます。
「不動産コラム」のメニューをクリックすると、充実したコラムが掲載されていて、コンテンツマーケティングにも力を入れていることが分かります。

ReBITA(リビタ)

これも動画をトップに使っているサイトです。動画の上にドット柄を載せて、オシャレさを演出しています。

東亜不動産

現在のウェブサイトデザインの流行では、画面上部にメニューを並べることが多いですが、その中でこのように縦に並べるとちょっと他と違う雰囲気を出すことができます。ただし、スマートフォンの大きさでは横に並べなおす必要があり、このサイトもそうなっています。
特徴的なイラストを用いているのも印象的なサイトですね。

MAISON ABLE

一人暮らしの女性をターゲットにしたエイブルのサイトです。女性向けの情報が掲載され、デザインのテイストも女性向けとなっています。

Woman.CHINTAI

もうひとつ、女性向けの不動産サイト事例として。こちらは「女性 一人暮らし」で検索して1位に表示されるサイトです。どうしてこのサイトが上位に表示され、一つ上でご紹介したエイブルのサイト「MAISON ABLE」が上位に表示されないのか、私には分かります。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

殖産ベスト

吉祥寺に本店があり、その周辺に複数店舗をもつ不動産会社です。ホームページの雰囲気が、優しい感じで良いですね。何か懐かしくなるような吉祥寺らしい映像が流れ、吉祥寺が好きな人が見たら、余計に住みたくなってしまうような演出がされていると思います。

料金とのバランス、検討について

本ページでお示ししたような事例の良いデザインは、やはりデザイン料が高くなりがちですが、当方なら料金をおさえながら、お客様のご要望を踏まえたこだわりあるデザインを実現いたします。

機能についても、増やせば増やすほど、料金はやはり高くなりますが、このページの冒頭の表でご紹介したような機能が最初から用意されていて、毎月の料金を支払うことで、常にバージョンアップされるSaaS(Software as a Service )と呼ばれるシステムもあります。ここでご紹介した事例のうち、最初の6つはすべて同じ種類のSaaSが利用されていますが、同じシステムが用いられているとは見ただけでは気づきにくいかと思います。

デザインは私によるカスタマイズが可能で、料金をおさえて制作することが可能な、私が良く知っているSaaSのご紹介が可能なので、それと、当方がすべて制作した場合とで比較して、お客様に合った選択肢を取っていただけたらと思っています。

SEO対策を施して集客力を増したサイト(ドメイン)は資産として残りますので、SEO対策に投資をするのは得策だと言えますが、ホームページのデザイン、機能に関しては流行や、その時の技術によっての作り直しなど発生し得るため、定期的なリニューアルも視野にいれなければなりません。SaaSの利用というのは、理にかなった選択肢だといえます。

まとめ

不動産会社様のホームページにあると良い機能、よくある機能と、事例をまとめました。
私は宅地建物取引士も持っていて、不動産には詳しいです。
よろしければご相談ください。

また、不動産SEO対策のポイントについてまとめた記事も書いてますので、よろしければご参照ください。

不動産SEO対策のポイント

著者のイメージ画像

株式会社BringFlower
稲田 高洋(Takahiro Inada)

2003年から大手総合電機メーカーでUXデザインプロセスの研究、実践。UXデザイン専門家の育成プログラム開発。SEOにおいても重要なW3Cが定めるWeb標準仕様策定にウェブアクセシビリティの専門家として関わる。2010~2018年に人間中心設計専門家を保有、数年間ウェブアクセシビリティ基盤委員も務める。その後、不動産会社向けにSaaSを提供する企業の事業開発部で複数サービスを企画、ローンチ。CMSを提供し1000以上のサイトを分析。顧客サポート、サイト運営にも関わる。
2022年3月に独立後、2024年4月に株式会社BringFlowerを設立。SEOコンサルを活動の軸に据えつつ、AIライティングツールの開発と運営を自ら行う。グッドデザイン賞4件、ドイツユニバーサルデザイン賞2件、米国IDEA賞1件の受賞歴あり。